楽水園

黒い縄で縛られた丸っこい石

スタッフの松浦です。皆さんいかがお過ごしですか?
コロナ禍でまだまだ大変ですが、せめてこのブログをお読みいただく間だけでもほっこりしていただけたら幸いです。。

さて、今回は楽水園の露地で撮影した下の写真をご覧ください。

これが今回のテーマです。
って、なにこれ?
黒い縄で縛られた丸っこい石がゴロンと…

大昔の戦で使われた投石系の武器でしょうか?
いざとなれば武器に使えないこともなさそうですが…
もちろん違います。

これは「関守石・せきもりいし」です。
「ここから先には行けません」というメッセージストーンなのです。
ダイレクトに「立ち入り禁止」の文字標識を出すよりお洒落でしょ?

丸石を自然素材の棕櫚・しゅろ縄などで四方から縛り
トップの結び目の上に縄をどんどん編み上げて高くし、
最後に縄をヘリコプターの羽のように四方にあしらって指が抜けないように
持ち手を作っています。
不思議な造形センスなので「これなんだろう?」と思われる方がほとんどです。
縛り方には色んな種類があって、お庭や植木屋さんごとに個性を競ったりする場合も。

もともと関守石は露地(茶庭)で使われてきました。
茶会に招かれた客たちが露地で迷わないように
関守石を飛び石の分かれ道に置いて「進路はこちらです」と教える為のものだったのです。
でも、最近では国内外から日本庭園を訪れる人が増え、
入ってはけない場所に入ってしまうケースが後を絶たず
「立ち入り禁止の標識」代わりに使われることが多くなりました。

特に京都では戦後の修学旅行ブームで大勢の学生さんたちが庭に訪れ
入ってはいけない場所に入り込み、とっても困ってしまい
本来なら「はんなり」の京都人もさすがに堪忍袋の緒が切れて
関守石で断固たる意思表示をする場合も!


いかがでしょう?角が立っていますね~。
丸石ではなく角石になると俄然メッセージ力がパワーアップしますよね。
「もう絶対に入ったらあかん!」てな感じでしょうか。

実はこの階段の上には、ある有名なお寺のご住職のお宅があるのですが
今から40年以上も前に高校の修学旅行で京都を訪れた私は
同級生たち五人で「この上には何があるとかいな~?」
などとワイワイ博多弁で話しながら写真の階段を上がって
門の脇に各々頭を突っ込んで綺麗なお庭を覗き込んだ思い出があるのです…(実話)
しかも、その時にはすでに四角い関守石が置かれていたにもかかわらず!です…

その節は大変ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。
もう二度としませんので許してください。

というわけで、皆さんもどこかのお庭でこの関守石を見かけたら
そこから先へは進まないようにしてくださいね。

また最近では石の代わりにガラスをつかった関守石を
現代アート作品として発表している作家さんなどもいます。
なかなか素敵なので機会があったら是非作品をチェックしてみてくださいね。

日本庭園の世界にはおもしろいものがたくさんあります。
それらを知れば庭園鑑賞の楽しさが無限に広がります。
これからもいろいろ紹介していきますので、どうぞお楽しみに!

公園案内

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